鈴林です。私の少年3巻のネタバレと感想をそれぞれ書いていきます。

始めに言っておくと…3巻の後にすぐ4巻を読める状態でこれを読んだ方が良いです!絶対に!必ず次がすぐに読みたくなる!!

それくらいに…とても面白かった。あとがきを読むと高野ひと深さんは、単行本の中の構成まで考えているようで…。なんとなく、作者さんって連載に集中しているから単行本はただただ「集めました」的なところが多いと思ってた。

その合間に、企画めいたものをやったりするものかと思っていたけど…。単行本派としては嬉しい。

私の少年 ネタバレ 3巻

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私の少年 3巻 ネタバレ

10話 欲しいもの

雨で濡れたままだった真修をふいに抱きしめてしまった聡子。真修の服は濡れていたので、ぶかぶかだが自分の服を真修に貸す。真修に思っても無い「大人な答え」を出したことで、真修は泣いてしまった。そのことを謝る聡子。

「クラブはやめても、これからもサッカーの練習は続けよう」と言う聡子に、真修は安心して床に寝そべってしまう。ふと、真修を撫でてしまいそうになる自分を自制して、真修になにか枕になるものを探す聡子。

しかし真修は自然に、聡子の膝に頭を乗せた。真修も無意識だったのか、自分のしてしまったことに謝る。

そして1巻1話「体温計」の冒頭に繋がるシーン。

膝の上には美しい少年がいて、それから後、息をしている間ずっとその子のことばかりを思ってしまう…。というあのシーンが、3巻のこの部分。

真修を膝の上に寝かせて、時間が経過すると…聡子の足は痺れてしまっていた。痺れた足で真修を玄関まで見送る聡子。真修の方から、膝枕を望んでくるなんて、そんなことは初めてだった。

 

雨が降っているある日、帰宅するために会社のエレベーターに走って乗り込む聡子。そこには、椎川主任が居た。

「自分の子どもが近所の大人にやたら懐いて物まで与えられてるなんてぞっとする。

おまえおかしいよ」

椎川は、真修の親の気持ちをそう代弁し、感想を告げた。聡子は昨日椎川を蹴ってしまったことを謝る。そして椎川の言っていたことに「否めない」という感想を抱いていることを伝える。

椎川は聡子に「冷静になって欲しかった」と伝える。限界ギリギリの相手に「冷静になれ」と言っても無意味だから、昨日のように冷や水をかけた、と言い椎川はエレベーターを降りた。聡子は冷静なつもりだったので、反論したかったが、それも間に合わなかった。

冷静に…。昨日の夜、真修を抱きしめてしまった時は何も考えていなかった。何故手が出てしまったのか…そうモヤモヤ考えていると、聡子はデパートの化粧品売り場、マニキュアが並ぶ店頭に来ていた。

よく喋る店員に片っ端からオススメされる聡子、聡子が選んだのは真修にも「好きな色」だと伝えたターコイズのマニキュアだった。

家に帰って自分の爪に塗ってみるが…どうにも似合っていない。気に入った色を選んだところで、自分に似合うとは限らないとしみじみ感じる聡子。

ふと「会いたかったからです」と言った真修のことを思い出す。真修は、私でいいんだろうか。

 

次の週の金曜日、真修と駅で待ち合わせして公園でサッカーの練習をする。花火を観に行く約束をしているので、真修はお祭りの天気を気にしているようだった。小学生の定番、夏休みの宿題を聞くと、既に真修は宿題を終えていた。

「最終日に全部やる」というテンプレではない真修を前に「すごいじゃない!」と真修を誉める聡子。「ご褒美に何かあげる!」と言い、真修の欲しいものを聞く。

すると真修は「背が欲しいです!!」と力強く答えた。(ここのコマの真修超かわいい)

「身長はあげられるものではない…」と思案していると、真修は「背が高くなって、車とかも乗れるようになって、聡子さんとどこでも行けるようになるから。それが一番欲しい」と笑顔で答える。

真修の未来に、遠い遠いこれから先の未来に当たり前のように聡子がいると語る真修。

雨の中走って来た真修に言えなかった「私も真修に会いたい」を、今、真修が自分に改めて言ってくれた。聡子はとても嬉しくなった。

「じゃあ免許取らなきゃね」と話して、今回の練習はお開きになった。

帰り道、真修からボールを返してもらうのを忘れてしまった聡子は分かれたばかりの真修を追いかけ呼びかけようとする。

すると、「父さん」と呼ぶ真修の声。真修の前には、真修の父親が立っていた。

11話 ノイズ

金曜日の夜の真修とのサッカー練習、その後に偶然真修の父親と会ってしまった聡子。真修が説明し出す前に、自己紹介を始める。大人として、悪いことをしていないという自負がある大人だからこその自己紹介。

しかし、突然の見知らぬ女性の自己紹介についていけない真修の父親。真修が夜の遅い時間までサッカーの練習をしていたのかどうか、真修に確認する。真修は、「遼一が塾に行っている間だけ…」と答えた。

重ねて聡子も説明しようとするが、それを遮る父。誰だかわからない者から状況説明をされても困ると伝え、真修と帰ろうとする。真修はそのやりとりを見て、聡子から目が離せない。

「もう聡子と会えなくなるんじゃないか」という恐怖があったのかもしれない。

真修が聡子から目をそらさず、呼びかける父親の声にも無反応。真修の父は仕方がないので聡子からの話を聞くことにした。真修を一旦家に送ってから改めて話をすることになり、場所は駅前のファミレスになった。

先にファミレスで待つ聡子。夏で、喉が渇いているのにホットコーヒーを無意識に頼んでしまう。真修の父に何から話せば良いのか…そんなことを考えて窓を眺めていると、死にそうな顔をしている自分が見えて、すぐに化粧を直しにトイレに行く。

「ちゃんとして見えるように」そう思い、化粧を直す。席に戻ったころ、真修の父がやって来た。

真修の父に、名刺を渡す。聡子の会社、ヨネサスのことを知っていた真修の父はすこしガードが緩くなったようだった。自分の社会的地位を説明するのに、名刺は有効なんだな、と聡子は感心する。

そして、聡子と真修の出会いから説明する。公園を通りかかったら、「よく知らない人」に連れていかれそうだったこと・いつも夜1人でサッカーの練習をしていること・1人は危ないから私がいる時なら良い、と言ったこと…を話していく。

「よく知らない人」と自分で言って、自分に返ってきていることを自覚しつつも、そう真修の父に説明した。

椎川にも言われたこと、「誰かもわからない人と自分の子どもが毎週会っていたなんて恐ろしいだろう」ということも伝え頭を下げる聡子。

一応は事情を理解してくれた様子の真修の父。真修も道すがら、同様のことを父親に説明したようだった。「知らない他人」にここまで懐くのは珍しいことだ、と伝える。

真修は実はサッカーをやめた、と父から言われる。サッカークラブを始めた理由、そして続けている理由を真修の父は語るが、それは聡子が知っているものではなかった。実際の真修とは別の人のことを言っているような「理由」。

  • 「興味あるなら入ってみるか?」と聞いたら入るというので入った。
  • しかし入ったものの年下の子にレギュラーを取られてしまうくらいに向いていないのもわかってた。
  • そんな姿を見ているのがかわいそうで「辛いなら辞めても良い」と言った

…というのが真修の父の語る理由。聡子は何故か話が頭に入らず、ファミレスの別の席の騒いでいる男の子の会話をよく聞いてしまっていた。

なんとなくは聞いていたので、「真修はサッカーが上手くなっている。集中力がある」と真修をカバーするようなことを伝えるも、父親の反応は聡子とは正反対だった。

  • 集中力と言えば聞こえがいいが、すぐに自分の世界に入る癖が直らない。
  • 先生からもよく、積極性を、と言われるのでクラブに入れたが特に変わっているようにも思えない

また、他の席の会話がノイズとなって真修の父との会話を邪魔する。父親が語る真修と、聡子が知っている真修。同じ人物のはずなのに、それは全くかみ合っていなかった。噛み合っていないから、聡子の中で真っすぐ聞くことができなかった。

「ちゃんとしなきゃ」そう心に決めて、真修の笑顔を思い浮かべる。

「背が伸びましたよね」

唐突に話を変える聡子。真修の父親は、真修の背が伸びたことには気づいていないようだった。聡子はまっすぐに謝罪した。

「あの子を見ているととても眩しくて懐かしい。だからつい見守りたくなってしまいました」と誠心誠意謝罪する。父親が何か言おうとしたとき、真修が聡子を守るようにテーブルの横から割り込んだ。

飛び込んでしまったことに気づいたように、「はっ」としてから、「金曜日、聡子さんとの練習許してください」と父親に頼み込む。

真修の父親は、聡子とLINEの連絡先交換をした。金曜日の練習前と終わり、LINEで必ず父親に連絡をすること。これが、金曜日の練習の決まりになった。

真修の父がコーヒー代を支払おうとすると、聡子は頑なに断る。真修の父は「若い人におごってもらうのは苦手だ」と言うが、聡子は「私は30なので若くないです!」と固辞。

真修の父親は、聡子が言う「30歳」を聞いて、妻が亡くなった歳を思い出していた。妻が亡くなったのは30歳。弔問客にも「30だなんて若いのに」と言われたことを思い出す。

真修は、また金曜に練習ができるのが嬉しいのか、改めて聡子に「金曜日に」と話してから父親と帰宅した。

聡子は、「ちゃんとできた」ことで達成感でいっぱいだった。ホットコーヒーも冷えてアイスコーヒーになっていた。

12話 ビー玉

金曜日の練習前、聡子は約束通り、真修の父親に「練習を始めます」という連絡と真修の写真を送っていた。

写真を送ってくれる聡子に「律儀な人だ」と感じる真修の父。たまたまスマホの画面が見える位置にいた女性の同僚に「早見さんも子煩悩ですね!」と言われる。何か言い換えそうとする真修の父だったが、女性は自分の子どもの動画を見せだした。

子どもと回転寿司に行った時の動画で、新幹線に乗って寿司が運ばれてくるのを見て喜びのあまり鼻血を出してしまう、という動画だった。ついそれを見て吹き出してしまう真修の父。

最近の回転寿司がそんな風になっていることを知らなかった真修の父は、「今度ウチも行ってみるかな」と女性の同僚に話す。

 

練習後の連絡もする聡子。帰り道、思い返されるのは、花火大会に行けない、と聞いて想像以上に落ち込む真修の姿だった。練習は許可されたが、その上花火大会に連れて行っていいかなど聞けるわけもない。その代わりに、練習が終わった後手持ち花火で遊ぼう、という計画だった。

「あの日はちゃんとできた」そう思うが、100%ではなかった。90%くらいできた。あとの10%を話してしまったら、全て終わってしまう、と感じた。だから真修の父親から聞かれたことを、ちゃんと話した。

「全てが終わること」を避けていた聡子。真修が描く未来に自分がいるためにも、これからは親御さんと話して「おかしくない」ようにすればいい、と花火売り場で決心する聡子。

次の週、サッカーの練習を早めに終わらせて、真修と2人だけの花火大会を始める。公園で2人で手持ち花火での花火大会。「聡子さんはしないんですか?」とうずうずする顔で聞いてくる真修。

「一緒にしたい」ということだな、と感じた聡子は花火を始める。真修が持っている花火から火を分けてもらう聡子。聡子にとって何気ないこの行動も、真修にとっては嬉しいものだった。

2人で色んな花火で遊んだ後、ラムネを真修に差し出す聡子。少しでも花火大会気分を出そうと買ってきたものだった。ラムネを開けようと玉押しを押し込むと、ラムネが吹き出て来てしまう。

ラムネにあたふたすることすら、楽しかった。

ラムネもあっという間に飲み終わってしまう。真修はこども花火大会で手持ち花火は2本しかできなかったから、今日たくさんできてとても嬉しかったようだった。

ラムネの瓶に入っているのは、ビー玉じゃない説がある。

と真修に伝える。完全な球体じゃないと瓶に蓋はできない。そこで合格した完全な球体がエー玉、そうではない不合格のものがビー玉、だという説があると真修に伝える。

※調べましたが、何とも言えないみたいです。ラムネの製造会社のHPにも無いですし、あるという人もいれば無いという人もいます。

聡子は小さい頃、エー玉がかわいそうに思ってしまった。せっかく真ん丸に生まれてきたのに瓶の中に閉じ込められるなんてかわいそう、と感じた。父親にエー玉を出してもらえるよう頼むと、父親は瓶を割って玉を出そうとした。

エー玉もコンクリートにぶつかって大きな傷が入ってしまった。

幼い聡子はそれを見て、「きれいな真ん丸だから、瓶の中で守られていた方が良い」と悟ったという。瓶の外に出たら不合格品になってしまう…と。

それを聞いて真修は、中の玉を取ろうと瓶と格闘し出す。手を痛めちゃうからやめよう、と聡子が止めても、真修はやめない。「絶対出す」そう言って瓶と格闘している。それを見て聡子は「私が出してあげる」と言い、瓶を開ける。

自分が頑張って開けられなかったものを聡子がすんなり開けてしまったことでショックを受ける真修。「真修が緩めておいてくれたからだよ!」とフォローするも「僕が出してあげたかったんです」と寂しそうに言う。

「出せたのは真修のおかげだから、これは真修が持ってて」とエー玉を真修に渡す。ぱっと見ではビー玉と変わらないけど、満月と比べるとエー玉の方がまんまるに見えた。

瓶の外に出ても、きれいなままのエー玉だった。

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13話 終わり

仕事中、真修からもらったストラップを失くしてしまったことに気づく聡子。紐はあるのだが、その先のお寿司が見当たらなかった。自分の席を探していると、椎川に呼ばれる。ついていった先は、会議室。

2人で使うには広い会議室で、用件を話し出さない椎川に「ご用件を聞かせていただいても…」と話しかける聡子。椎川は言いづらそうに「早見さんって知ってるよな」と話し出した。

NTJの早見元樹さん、真修の父親と連絡先を交換したことを言われる。ドキドキしながら「早見さんがどうかした…」と話し出すと、椎川はまた話しづらそうに続ける。

企画部の中本から連絡があり早見さんが息子さんに関することでお前に腹を立てているらしい、と聞いたとのことだった。「息子さんってのは…」と続けようとすると、使用中に気づかず他の社員がドアを開ける。

誰も来ないように鍵をかける椎川。その間聡子は、じっとしていた。

椎川が聞いた限りでは、先方は、聡子が自分の知らない・認めていないことを真修にしている、と。例えば色んな所へ連れて言ったり部屋にもあげているのではないか…。一度互いに身分を明かして話をしたのにも関わらず、その点について説明や情報を伝えずに親を騙そうとしたのではないか…

多和田聡子という社員をどうにかして欲しい、と言われた、とのことだった。

椎川は座っている聡子に視線を合わせ、真修は「駅で会った子だよな?」と確認を取る。サッカーの練習に付き合うというのをどう説明したのか、聡子に優しく問いただす椎川。

聡子は震えながら少しずつ話した。毎週金曜日にサッカーの練習を続けていたことをお詫びして、それから自分の名刺を渡したこと。早見さんに連絡して許可を取れば、練習を続けても良いと言われたこと…を少しずつ話す。

練習以外で、真修と会っていたことは説明しなかったこと…を話し、「申し訳ありませんでした」と椎川に謝罪する。

「回転寿司なんかも言ってなかったってことか」

と椎川が言うと、聡子はビクっと反応する。早見さんが真修と弟と「初めて」回転寿司に行ったところ、真修は「真修は」初めてではなかった。そこで真修から話を聞いて、わかったらしい。

聡子は顔を覆いながら、震えながら、今まで自分が真修にしてきたことを椎川に説明する。

サッカーの試合会場まで送り迎えをしたこと、回転寿司に一緒に行ったこと、勉強を見るために家にあげたこと、夏休みに一緒にプールに行ったこと、弟くんが居なくなったというから真修を落ち着かせるために真修の家にもあがったこと…。

自分の家に一泊させたこともあること…。

椎川はそれらを聞いて、少し黙り込んでしまう。「家に泊めた」そんなことは、企画の中本からは聞いていない。もし、父親が一泊させたことを知っていたら、こちらにも報告してくるし中本も自分に話すだろう。それが無いということは…。

「ここからは俺の想像だけど、父親は一泊したことを知らないんじゃないのか」

と核心をつく。

「お前がこんなにも入れ込む理由は、あの子が『かわいそうな子だから』なんだろ」と聡子に問う椎川。

自分が真修のそばにいたのは、真修がかわいそうだったからなのか…。自問自答してしまう。しかしそんな場合ではない。

椎川の言葉に否定も肯定もせず、処分を甘んじて受ける、と答える聡子。「どうするかは上が決める。ただ心の準備はしとけよ」と告げる椎川。

その後辞令が出た。聡子は仙台の支店に異動になった。

目の奥がじんわり暗くなって、体の端からさらさらとしたものが連れ去られていく。自分ではどうにもできない。これが「終わり」。真修は今どうしているんだろう。私は、どこで間違ったんだろう。

そう思いながら、張り出された辞令の紙を見つめた。

隣の席の原ちゃんに、自分が持っている仕事を引き継ぐ。「仙台って遠くないですか!?」と聞かれるが、実家が仙台だと告げると「初耳です!」と驚かれた。

美容室で、髪も切ってもらう。仙台に行く、と告げると「仙台めっちゃ良いところですよね~」と美容師に返された。

ロングの髪をショートボブくらいまで短くした聡子。駅で真修に似ている子をじっと見てしまう。その子の顔を見ると、女の子だった。

色々済ませて家に帰ると、電気がつかない。引っ越し前のタイミングで電球が切れていた。粗大ごみのシールもいくつか買わないといけない。全部、消していかないといけない。

居酒屋で聡子の送別会が開かれる。隣の席の原ちゃんが泣きながらストラップをくれる。お礼を言っている最中に親から電話が入り、一旦店の外に出る聡子。戻ろうとすると椎川もやってきた。

タバコを吸っていると思ったらしい。タバコではないとわかった椎川は戻ろうとするが、そのまま椎川にお礼を告げる聡子。仙台の支社を推薦してくれたのは椎川だと聞いた。欠員が出たと報告があったらしい。

原ちゃんにもらったストラップを見て「それ、絶対付けなそう」と言われる。「この間までつけてたのってあの子からもらったやつだったの?」と聞かれて、はい、と答える聡子。

会議室では言えなかった答えを、ここで答える。

「真修がかわいそうだったから、つい手を差し伸べたんだと思う。でも違った、全くの逆だった。真修が私に手を差し伸べてくれていた。私が色々与えようと思っていたつもりが、あの子の方からたくさんもらってしまった。

たくさんもらいすぎてしまったから、だから全部無くなったんでしょうね…」

と椎川に話す。「じゃあなんであの時…」と椎川は何かを言おうとするが、言うのをやめてしまう。

「明日出発なんだから、キリいいとこで帰るって言えよ」と言って店に戻っていった。

 

次の日、自分の部屋から出ていく聡子。だいぶ時間が経ってから、真修は走って部屋の前にやって来た。チャイムを押すが誰も出てこない。近所の女性が「今日引っ越すって言ってた」と真修に教えてくれる。

真修は走って駅に向かうが、聡子は居ない。家に戻り「秘密の番号」と言って渡された携帯の番号のメモを見る。

新幹線に乗って、仙台に着いた聡子。早速鳴った電話に出ると、母親からの留守電を聞いていなかったことを詫びる。留守電は3件来ており、1件目には「何時に着くか教えて」という内容のメッセージが入っていた。

2件目。真修だった。

「今どこにいますか ごめんなさい俺が父さんに言ったから。聡子さんが父さんに怒られたらごめん------」

というところで留守電は切れていた。

残りのメッセージを聞くため、ホームのベンチに座る聡子。

3件目も真修だった。録音の真修は泣いていた。

「サッカーボール、俺にくれたんですか。いらないです…!これからは何も聡子さんからもらったりしません。もう何も欲しくないです。だからお願いします。

いなく ならないで」

聡子は駅のホームで1人、泣きながらメッセージを聞いていた。

14話 ドラマ

部下の女の子に運転してもらいながら、車の中で仕事の会話をする聡子。仕事の電話が終わっても聡子のスマホは鳴り続けているが、母親が送ってくるワイドショーの内容などがほとんどだった。

仕事が終わり、家族に頼まれた晩御飯のカレーを買って帰る。車のラジオからはラブソングが流れるところだったが、聡子はすぐに真顔でラジオを切る。家に着き、妹、母が出迎えた。

妹のまゆの彼氏も呼べばよかったのに、という母親。まゆの彼氏の達郎くんは、まゆ曰く人見知りらしい。1週間前にできた彼氏とのことだった。そしてまた「あんたも32よ」から始まる結婚しなさい、という母親の説教。

機能と全く同じセリフでの説教だった。適当に謝りつつ自室に帰る。自分の部屋では、ベッドに横になって猫の動画を観続けている聡子。ぼーーっと動画を観続ける姉を見て、妹は「大丈夫?」と心配する。

聡子は、朝起きてから夜寝るまでずっと疲れている、と返す。すると妹のまゆは「退屈なんじゃないの」と言った。「非日常なドラマが欲しいんだよ」とも。

非日常。この街のどこに、そんな非日常が落ちているのか。落ちていたとして拾い方もわからないのに。

妹と基礎化粧品一式を買いに出たある日、妹は荷物が重いから一旦車に置いてくる、と1人車に戻った。ベンチに座り、妹のまゆと受けた肌年齢チェックのことを思い返していると、隣の席の男の人に「多和田?」と話しかけられる。

彼は、高校の時の同級生八島(やしま)くんだった。同窓会ぶりだと7年振りだ。「多和田って東京行ってたんじゃ…」と言われてドキっとする。

今度ご飯に行こう、と言われLINEの連絡先も交換した。非日常が、横に座って来た。「ほんのりレアイベントなのでは…」と考えながら、ラジオを聞き車で帰宅する。ラジオからは岡本真夜の曲が流れそうになるが、聡子はすぐにラジオを止めた。

 

八島くんと2人でカフェでお茶をする聡子。いつ頃こっちに戻って来たのか、など話が進む。八島くんは仕事で海外に居て、仙台に戻って来たのは1年前ほどらしい。その間に6年付き合っていた彼女に振られてしまった、と聡子に話す。

そして、高校時代、バス停が一緒の聡子に話しかけられなかった、という思い出を話してくれる八島くん。「めちゃくちゃドラマ感じた」と笑いながら話す。

聡子も、フラグが立ったのを感じていた。ふと外から「点呼とるぞー!」という声が聞こえる。修学旅行生が来ているようだった。

家に帰ると、「ただいま」の言い方が違う、と言って家族に「男だ!」と話を聞かれる。「男女的なやつじゃない!」と強く答えると、妹のまゆに笑われた。「フリーの男と女が休日会うときは、男女的でもいいんだよ~」と笑顔で返された。

言われてみてよく考えると確かにそうだ。こんな休日の過ごし方が久しぶりで心が追い付いていないみたいだった。東京にいる時の休日の過ごし方は…まで考えて、やめる。

東京では働いて休日は遊ぶ、という友達が多かったけど地元ではみんなお父さんお母さんになっていてびっくりした。親も毎日飽きもせずに「けっこんけっこん」と言ってくる。もしかすると、八島くんもそんな話ばかり聞かされているのかもしれない。

確かにドラマみたいだ、と聡子は思った。

別の日、八島くんとまたご飯を食べていると、別の席で誕生日を祝うケーキが運ばれているところだった。ケーキには花火が刺さっていて、聡子は「どうして花火なんだろう。派手さを求めてかな」と冷静に考えていた。

「どの国の女の子もサプライズって好きだよね」と八島くんに話を振られる。「そうだよね。海外のサプライズって手が込んでそう」と、一般的意見を述べる聡子。八島くんは海外での自分の経験を話す前に「多和田の誕生日っていつ?」と誕生日を聞いてきた。

10月21日だと答えると、「2週間後じゃん!早く言ってくれたらよかったのに!」と言われてしまう。そして日曜だということもあり、また会う約束をした。

聡子は25歳を越えた頃から、誕生日のことをすっかり忘れるようになっていた。「30歳の誕生日おめでとう」と会社の先輩からメールをもらって、少しショックを受けて以来特に気にしなくなっていた。(超わかる。)

八島くんは、自分の33歳の誕生日を価値ある日にしようとしていると思った。

当日、八島くんは薔薇を33本持って家にやって来た。聡子の母は大喜びだった。正直、薔薇には少し引いてしまった聡子だったが、いっそ非日常に連れて行ってもらおうという覚悟を持って、八島くんとの食事に臨んだ。

食事中、突然音楽が止まる。するとお客さんだと思っていた人たちが一斉に立ち上がり歌いだした。誕生日を祝う曲、みんなで一斉に歌いだした。「これはもしかしてフラッシュモブ…」と思いながら青ざめていると、八島くんはかしこまったように話し出す。

「多和田…いや、聡子さん」そう言われて、聡子は我に返った。プロポーズの言葉を遮り

「ごめん 無理だ」と言って立ち上がる。走ってその場から逃げ出す。

あの場でOKすることで運ばれてくるであろう残り67本の薔薇も、大掛かりなフラッシュモブも、非日常もドラマも何一つ欲しくない。

私が欲しいのは、真修と一緒だったあのささやかな日常。ただそれだけ。そう思いながら走って走って、歩道橋の上で立ち止まった。いつの間にか泣いてしまっていた聡子。

その傍を、修学旅行生であろう男の子が通りかかる。ドラマなんかいらない、と思って走り出して来た。

「聡子…さん?」

呼ばれて振り返ると、そこには髪を短く切って黒い学ランを着た、成長した真修が立っていた。

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私の少年 3巻 感想

 何が正しいのか

聡子が真修を構うようになったのは、不審者に話しかけられていたから、襲われそうだったから、と言ってもいい。始めから終わりまでずっと善意だった。

でも椎川の言うように、「自分の子どもが見も知らぬ大人から」色々されて懐いているという現状が気持ち悪いと思うのもわかる。聡子側も椎川側もわかるから読んでいてとても辛かった。

聡子が仙台駅のホームで真修からの留守番電話を聞いている時泣いた。失礼な話だけど、まさかこの漫画でここまで泣くとは思わなかったくらい泣いた。

『これからは何ももらったりしないから、いなくならないで』

って…そんな言葉を小学生が…!言うなんて…!もうほぼ愛の告白じゃん…!

でも真修にとってみたらきっと告白じゃない。自分の前から聡子に居なくなって欲しくないだけ。ただそれだけの真っすぐな想い。

仕方のないことだけど、聡子と真修の前に真修の父親が現れるシーンは何回読んでもヒヤっとする。先の展開がわかっていても、「うわぁあああ」って思ってしまう。それくらいに聡子側に立って読んでいた、ということなんだろうけど。

真修の父親からしたら、誰だかわからない女から真修は回転寿司に連れて行ってもらい、家に上がらせてもらったり泊めてもらったり、サッカーの練習場まで送ってもらったりしていた。真修の父親からしたら、小学生が好きな異常性愛者かと思われても…仕方のない状況だとは思うよ。

一応あたしも大人だし。そーいう目線でも見られる。

でも、そうじゃないともわかっている。今まで真修のことを放っておいて、どういうつもりなの!?という気持ちもある。回転寿司に連れていくきっかけも、聡子が送ったLINEじゃないか。

あれが無ければ、会社であの動画を見ることも無かった。きっかけも生まれなかった。人に言われるまで、自分の子どもに目もくれなかったくせに。真修のサッカーをやりたいという気持ちを、自分の価値観で見て「向いてないならやめろ」って言ったり。

そもそもサッカークラブへの送り迎えをやりたくないからクラブ続けるな、というのもおかしい。そもそもがおかしい。誰かの車に乗せてもらうのも、お礼がめんどくさいとか。

どんだけ子どもと関わりたくないの?忙しいを言い訳にしても良い問題じゃないと思う。そこに聡子が入ってくれたから、真修の毎日は輝きだしたと思う。それを知らずに、「息子が狙われている」的な価値観で聡子を見ているのが悔しい。

でもそう見えてしまうのもわかる。あのファミレスで、聡子が真修のお父さんと戦うのも見当違いだ。意味がわからない。父親に対して「あなたは真修のことが何もわかってない」ってファミレスで言えば、「真修はこの女に洗脳されてる」と思われても仕方なくなっちゃう。

難しい…。でも聡子がしたことは…悪いことだとは思えないよ…。

真修の居ない仙台

聡子の人生の中で、真修が居る時間ってとても短いはずなのに、仙台で過ごす聡子にとって真修が居ない毎日は灰色になってる。

フラッシュモブプロポーズ野郎の八島くんは、体のいい生贄…というところだろうかw

フラッシュモブでの告白って…キッツイ…!!!勝手な想像だけど、「私の少年」を読む読者の中で『フラッシュモブでの告白良いじゃないですか!』って人は少ないと思うんだよね…。勝手な偏見だけど。

そもそも、まだ八島と聡子って付き合ってもいないのに、どうしてフラッシュモブとか仕込むの!?意味が分からない!!

聡子はフラッシュモブ界隈も詳しいのかな。33本の薔薇+67本で100本になる、なんて詳しいわ~~~。全然わからなかった。確かに八島と聡子で「サプライズ」の話してたけど…別に聡子はサプライズ好きだって話してないからね。

八島の勝手な勘違い。何という愚かな。

八島と何度か会っていたってことは、聡子は真修の居ない日常に何とか慣れようとしていたのかな。八島という非日常がある日隣に座って来たことで、これみよがしに過去の話をされたことで、自分への好意を感じた。

このまま八島と会って行けば、親の希望通りの結婚なんかもあるだろう。地元での結婚。親にとっては願ったり叶ったり。真修のことを忘れて、気にしないようにして、結婚でもして仙台で生きていく。そうしようと思った…んだろうな。

それが、フラッシュモブもあって現実に引き戻された、ということかしら。あれはないよ…。

聡子は真修と一緒に聞いた曲・聞いた歌手ですら遠ざけている。聞けなくなる曲がさらに増えてる。自然と真修のことを思い出してしまうから遠ざけているんだろうけど…それでも悲しい。

きっと真修に「好きな色」として言っていたターコイズも、遠ざけてる。意識して避けてる。その時点で真修を忘れてないってことなんだけど。

 

そしてそこからの…再会。ドラマなんていらない、からの再会。

うわあぁあああああああ!!良いとこで終わるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!作者さんが編集さんと単行本の構成について話してるけど、まんまとハマってるよぉおおおおお!うまいいいいい!!

フワーーーーーーー!で終わりましたわ…。なので、次の4巻をすぐ読める状態でこの3巻を読むのが…私のオススメw

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