凪のお暇 3巻_R

鈴林です。凪のお暇3巻のネタバレと感想です。

ドラマ化がきっかけで読み始めた作品とはいえ、こんなに面白いなんて思わなかった。確かにこれは人気が出るのもわかるし、ドラマ化するのもわかる。

あえて前情報無しで楽しみたい気持ち…! でも迷うなぁ~!w

個人的には凪ちゃんの恋愛がどうこうよりも、女の友情とか仕事の方が楽しみ。

凪のお暇 ネタバレ 3巻

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凪のお暇 3巻 ネタバレ

十三円め 13話 凪、回顧する

凪は慎二と水族館に行った時のことを思い出していた。

慎二と一緒に居るようになって半年経った頃、あの日に慎二と価値観が違うと感じた。

同じ方向に力強く泳いで回るイワシの群れを見て、凪はキレイだと思い鳥肌が立ち何時間でも見ていられると感じた。

そんな中群れからはずれたイワシも一匹いた。

そのイワシはあっという間に群れに戻ることができなくなり、しまいには逆方向に泳ぎだした。

 

凪はそのイワシを見て内心応援していた。

『落ち着いてタイミングを計ればきっとまた列に戻れるよ!』

そう思いながら食い入るように見ていると慎二は

 

「なにはぐれてんだアイツ。空気読めよなー。

他のイワシとめっちゃぶつかってんじゃん。死ぬんじゃね? ウケる」

 

と笑ってみていた。

 

空気を読むのが上手で群れの中を先陣切手逃げるような慎二には、一匹だけはぐれたイワシの気持ちはわからないと凪は考えていた。

しかしそう思うと哀しくなった。

 

「もし死んじゃったら、私があの子のこと食べてあげたいな」

と言うと慎二は

「お前イワシとか食うの!? あんなん貧乏人の食い物じゃん?」

と真剣に聞いてきた。

 

足立さんと坂本さんと喫茶店に行った際に、刺さったブーメランを抜くべく一晩中考えたが

慎二のどこが好きだったのか、彼のどこが好きだったのか1つも思い出せなかった。

 

そもそも始めから慎二のことを肩書でしか見ていなかった気もしていた。

 

【営業部のエースで出世頭でみんな大好きな我聞慎二くん】という肩書。

 

だから慎二に

「大島さんの髪ってきれいだね」

と言われた時は飛び上がるくらいに嬉しかったし、実際ヘアケアが念入りになった。

とにかくまっすぐサラサラにしようと努力した。

 

慎二からモラハラまがいの仕打ちを耐えていたのは、彼を好きだったのではなく…

【営業部のエースで出世頭でみんな大好きな我聞慎二くん】だったからではないか?

 

と思い至ってぞっとした。

部屋にこもっていると思考がくすぶってしまうので外に出て買い物ついでに気分転換しようと外に出る。

 

完成した新築の家を見て、慎二にここまで囚われていた理由を、決め手を思い出した。

 

『そうだ決め手は、慎二のあの実家だった気がする』

 

慎二の実家はモデルルームみたいな大きな家に豪華な食卓。

お母さんはキレイで少し天然な専業主婦。

お父さんは誠実で優しそうな公務員。

 

正直言って違和感まみれだった。

実家にいるというのに慎二は態度が完全によそ生きなのがその証拠だった。

 

『でもこの波に上手いこと乗れば、表面上はこの理想的なお家の一員になれる?

あのきれいなイワシの群れの一部に?

100点満点?

誰が見てもあの人が見ても?

あの人って?』

 

まで考えいたり、蚊が飛んでいたので顔を叩き思考を止める。

 

 

慎二は自動車保険の更新書類のために久々に実家に帰宅した。

慎二の母は「慎一が帰ったのかと思ったわ。あなた達本当に声がそっくり」と言ってすぐにテレビに戻る。

 

父の居場所を聞くと「アッチのおうちじゃないの?」とまるで興味ないようだった。

慎二の母は美容依存で整形を繰り返している。

誠実で優しそうな公務員の父は、外に愛人4人と子供もいる。

 

物心ついたころから慎二の家庭はこの状況だった。長男の慎一は逃げたきり。

なのに我聞家は慎二含め、第三者の目を感じると理想の実家ショーを始める。

 

それはまるであの日凪と一緒に見たイワシの群れのように滑稽だと、慎二は考えていた。

イワシの光る群れを見て、慎二はキモイと思い鳥肌が立ったし一刻も早くその場を離れたかった。

そんな中群れからはぐれた一匹のイワシ。力強く逆方向に泳ぎだした。

 

慎二はそのイワシに畏怖・憧れ・懸念を抱いた。

凪が「もし死んじゃったらあの子のこと食べてあげたい」と言っていたのも一緒に思い出す。

 

『イワシなんて貧乏人の食い物じゃんって言ったら、ムキになって可愛かったなー』

 

母に出してもらったデリのご飯。食べているとイワシのような魚が入っていた。

 

『あの後作ってもらえばよかったな。イワシのピカタっつーのとフリッターつーの。

俺は、母親が坂間をさばいているのを見たことが無い。』

 

 

凪はイワシをたくさん買って帰宅していた。

1山100円で売っていたらしい。ゴンさんとうららちゃんにもおすそ分けすることになり、3人で料理することになった。

うららちゃんとゴンさんと一緒にイワシを包丁を使わずにさばき、調理していく。

 

『私のハラワタもこんな風に洗い流せたらいいのに。

誰かに乗っかって泳ごうなんて打算があったくせにちゃっかり見ない振りして。

やんなる』

 

うららちゃんに「凪ちゃん?」と話しかけられ、ゴンさんにも「たまにこわい目するよね」と言われてしまう。

死んだ魚のような目をしていたらしい。

 

そして完成したイワシのフリッター。衣がふわふわに揚がり、とてもおいしそうに食べるうららちゃん。

そんな時凪の携帯に電話がかかってきた。

凪は携帯画面を見てフリーズする。

 

「出なくていいの?」

とうららちゃんが聞くが、凪は「後で折り返すから」と出なかった。

 

凪はまた死んだ魚のような目をしている。

携帯の画面には「着信 母」と表示されていた。

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十四円め 14話 凪、自覚する

凪の母がトウモロコシ畑から娘に電話をかけるが、凪はいっこうに出ない。

働かせてもらっている農家の夫婦は「何べんもかけているのに出ないなんて薄情だよう」と言うが

凪の母は

「そんな言い方よして。東京で忙しくしてるんだから仕方ない。ただちょっと声が聴きたかっただけだから。あの子のこと悪く言うのはよしてよ」

と夫婦を止めた。

 

凪の母の言葉を聞いて夫婦は余計に大島親子を会話させたくなり…夫婦の電話から凪の番号に発信する。

 

凪の携帯に登録していない番号から電話がかかってきた。

凪はすぐに『第二形態に入ったか』と察し、深呼吸してから出た。

 

トウモロコシ農家の奥さんの方が電話をかけていたので、すぐに凪の母親を呼び「親子水入らずだべ!!」と言って母を電話へと押しやり夫婦は仕事に戻っていった。

 

「凪? 凪、どうしてお母さんの電話に出ないの?

出られなかったら折り返してって言ったわよね。

お母さんを心配させて楽しんでるの?」

 

凪は「色々バタついててちょうど今かけようと思ってたところ」と嘘をつく。

周りの人間から固めてくるのが第二形態。母はかなり怒っていると、凪は察した。

 

「元気にしてるのね? 身なりはちゃんとしてる?

まさかあのみっともない頭で外に出たりしてないわよね?」

「まさかー」

 

故郷に住む母からの電話は、彼女が望む通りの返答をしなければならない。一つでも間違えたら脱線事故。

娘の安否をざっくりと確認したらそこから先は母のターンだった。

 

母の体調の話から、おばあちゃんは「凪がいてくれたら」と言っているという話。

そして近所の黒沢優(くろさわ ゆう)ちゃんが結婚する話。

 

凪の母は「お宅の凪ちゃんは大丈夫?」と黒沢さんに聞かれた際に

「うちの凪は東京で立派に働いている上に、素敵な彼を捕まえてますからご心配なく」

と伝えたらしい。

そして現在無色なことを、地元の人には伝えてはならないと念を押す。

 

凪の母は昔からいつも「本当は自分が思っていること」を他人が言ったていで凪に伝えてくる。

そして「お母さんだけは凪を信じてるからね」などという常套句で雑にくるむ。

 

「うん、お母さんいつもありがとう」

そう返事をしつつも、いつもこの母の望むルートをなぞろうとしていたように思えた。

ちゃんと仕事をして、安定した仕事をして、最終的にちゃんとした人とちゃんと結婚をする。

 

『これなら文句は言わせないって言わせたかったんだろうか』

と考えていると、母が何か言いかけた。衝撃とたまたま通った電車の音でよく聞こえなかったが…

 

凪の母が東京にやってくると言う。

黒沢優ちゃんの結婚式を夢の国でやることになり、凪の母も呼ばれたので東京に来るらしい。

 

「凪の新しいおうちも見てみたいし、年明けのその頃には凪の新しい仕事もちゃんと決まってるわよね」

 

そう言われたが、この部屋と凪の姿を見られたら確実に故郷の北の国に強制送還される未来が見えていた。

年明けといえばあと3か月ほどしかない。

そして母から部屋にトウモロコシが届いた。

 

その時隣の部屋のゴンさんが、ゴーヤの時のお皿を返しに来てくれた。

ゴンさんにおすそ分けするためにも、トウモロコシを茹でる。

 

ゴンさんはトウモロコシが好きなようだが、凪は苦手だった。

幼い頃あまり好きではないトウモロコシを出され、食べないでいると

 

「どうしてちゃんと食べないの。お母さんやみんなが心を込めて作ったトウモロコシよ。

どうして? …そう。ならもう食べなくて良いわ」

 

と言って母は皿に乗ったトウモロコシをゴミ箱に捨てた。

「なんで捨てちゃうの!?」と聞いても「凪が食べないからよ」と当然のように言う。

 

「かわいそうなトウモロコシ。お母さんやみんなが一生懸命作ったのに

凪のせいで死んじゃった」

 

『罪悪感をあてこする叱り方。

私はあの人のああいうところが』

 

 

トウモロコシを食べながら「相当キライなんだね」と話すゴンさん。

 

「そ…そんなことないですよ?

確かに子供の頃はどうなのって思うこともあったけど

大人になった今なら、父が蒸発して女手1つで娘を育てる気苦労とかもわかるんです」

 

「あーいや、その、

すごい顔で睨んでたから相当キライなんだろうなって。

トウモロコシが」

「トウモロコシが」

 

ついトウモロコシではない話をしてしまった凪。

 

「あ、でも俺はさ

キライなことを口に出して自覚するとラクになることはあると思う」

 

とゴンさんはいつもと変わらない調子で言った。

 

『あの人の

自分は悪者にならないよう細工するところや

家では標準語で話すところや

外では良い人ぶるところや

とにかく口やかましいところが』

 

「キライ」

 

「うっうわー!!

すごいですねゴンさん!! 口にしたらなんかスッキリしました!!」

 

と言えたことで自分の感情をはっきりと自覚できた凪。

さっきカレンダーに丸を付けた日を見て、ゴンさんは母が東京に来る日を察した。

 

「タイトルマッチじゃん。この数か月で英気を養って、凪ちゃんなりの戦い方身につけて挑まないとだよね」

「タ…タイトルマッチ!!

それですね! 決戦にそなえます!!」

 

『ゴンさんって不思議だ。

ものごとを前向きに昇華してくれる力がある。

話しているとラクになる』

 

栄養を摂らなくちゃ、とトウモロコシをもりもりと食べる凪。

 

「トウモロコシついてるよ。

凪ちゃんて ほんとかわいいね」

 

ゴンさんは口元についたトウモロコシを取るついでに、キスをするように顔を近づけた。

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十五円め 15話 凪、回す

ゴンさんにキスされそうになり、凪は赤くなりながらも手でキスを防いでいた。

 

「もーーーーーーー

からかわないでくださいってばゴンさん!

何度もこういうことされちゃうと本気にしちゃうじゃないですかーー!」

 

と言って身体を離すと、ゴンさんは「本気にして良いのに」と言って少し寂しそうな顔をした。

ゴンさんは今夜友達のイベントに顔を出さなければいけない、と言って立ち上がる。

 

「いつもご馳走になってばっかりだからさ、

気が向いたらうちにも遊びに来てよ。おもてなしさせて」

 

といつもの緩い雰囲気で部屋を出て行った。

 

トウモロコシを使ったご飯を作り明日の朝食べられるように仕込んで眠る。

平静を装ってはいたが動悸でバクバクしていた。

動悸とモヤモヤとの相性がひどくてその夜はちっとも寝付けなかった。

 

次の日の朝、いい天気だったので朝ご飯をおにぎりにして外で食べることにする。

近くの公園で座っておにぎりを食べる凪。

 

モヤモヤの原因はわかっていた。

缶詰BBQの時も昨日も本当は心の底でチューくらいしとけばよかった、と思っていた。

 

『でもブレーキがかかった。脱線するのが怖かった。

ゴンさんとそんなことをしてしまったら、お母さんに言われてきた「ちゃんと」な路線を大きくはずれてしまうことになる。

 

いやそれも違う。私だ。私が怖くて踏み出せなかった。

だから茶化してごまかして、あんな顔させて。

クソだ。

 

ゆらゆらふわふわ自由で良いなって。こんなに惹かれていたのに。』

 

母が東京に来るまで3か月。言い訳ばかりの自分はもう嫌だった。

『こんなんじゃダメだ』

 

ゴンさんがベランダに出てタバコを吸う音が聞こえる。凪もすぐにベランダに出た。

挨拶もそこそこに

「あっ…あの昨日の今日であれなんですが、もしゴンさんさえ良ければ

今夜お部屋に遊びに行ってもいいですか…!?」

 

『本当に変わりたいなら

脱線覚悟で自分の気持ちに正直に』

 

「いーよ。おいでー」

ゴンさんはゆるっとOKしてくれた。

 

ゴンさんの部屋に入ると、見たことのない本やCDがいっぱいあった。そして凪の憧れのハンモック。

ゴンさんはハイボールのチョコミントアイス乗せを出してくれた。

チョコミントが苦手かもしれないので、バニラアイスバージョンも用意してくれていた。

 

凪はチョコミント大好きなのでそのままいただく。飲むととてもおいしくて、どんどんお酒が進んだ。

 

ゴンさんは

「夢みたいだなって。

俺ずっとこうして凪ちゃんと酒飲んでみたかったんだよね。だからすげー嬉しい。

凪ちゃんといると実際すげー楽しいし」

 

としみじみと話してくれる。凪は嬉しくてゴンさんの顔を直視できなかった。

 

 

凪のお酒がどんどんと進むので、お酒に強いことに気づかれてしまう。

凪はこれまでずっと飲めない振りをしてきた。その方が慎二と一緒にいて都合が良かった。

飲めない凪の方が、慎二が喜ぶと知っていたから。

 

「こしゃくな女ですよね。最近常にほっぺたひっぱたきたくなります。

すっ…すみませんまた愚痴っぽくなってしまって」

 

「いーよ全然。それで凪ちゃんが楽になるなら。

でも俺思うんだけど、凪ちゃんってちょっと自分に厳しすぎるんじゃないかな。

もっと力ぬいて良いと思うんだよ。このキャンドルの灯りみたくゆらゆらって。

せっかくのお暇なんだしさ」

 

『あ

ゆらゆらふわふわ無重力

なんだろう なんだろう

これ

ゴンさんの背中があつい

あつい』

 

2人はそのままエッチした。

 

『めっちゃくちゃ気持ち良かった

事後の余韻がスゴイ!! なにこれこんなの人生初!!

あ…あつくて溶けるかと思った…!

背中に感じるゴンさんの心音が心地良い…

わたし…幸せです…』

 

と思い凪が振り返るとゴンさんはソシャゲをプレイしていた。

あんなことをした直後にすぐにソシャゲ!! しかも激レアキャラを引いたらしく見せてくれる。

そしてそのままおでこにキスして

「凪ちゃんって呆けた顔もかわいいね」

と言ってくれるゴンさん。

 

そしてそのまま「俺シャワーいい? もう汗ベットベトでさ」と言ってシャワーに向かってしまった。

 

凪としてはもっとゆっくり会話なんかがあっても良いと思った…が

『汗は流さないと気持ち悪いもんね!』

と自分を納得させた。

 

ゴンさんの背中についた髪の毛を取ろうと手を伸ばすと、さっきまであんなに扱ったゴンさんの背中はとても冷たかった。

 

慎二は営業の帰り、道に落ちて汚くなっていたビニール袋をわざわざ拾ってゴミ箱に捨てていた。

その偉業に驚く後輩に

「昔からあーいう状態のレジ袋見てらんねーんだよ。

なんか不憫じゃね?」

と返す。

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十六円め 16話 凪、恋をする

あの日ゴンさんとの一線を越えてから

連日カーテンを閉め切った日の当たらない部屋で朝のニュース番組からお昼の情報番組まで、ずっとつけっぱなしのTVを横目に

ただただ、ただれた時間を過ごしていた凪。

 

今日もエッチが終わり、隣を見るとゴンさんがいた。

『一緒にいるようになって気づいた。

ゴンさんはとにかく自由だ』

 

凪とエッチが終わったばかりだというのに、友達からの電話に出て

「俺今、家だから全然平気。んじゃあとで」

と電話を終了させてしまう。

 

そして「ごめん凪ちゃん今日友達来るの忘れてて。今から来るって」といつもの調子で話された。

駅にいたためなのか、すぐに到着してしまうゴンさんの友達。

 

ピンポンが鳴るがまだ2人とも服を着ていない。

急いで服を着て何もなかったように座る凪。ゴンさんは急いで服を着たせいか、表裏逆だし前後ろも逆のままTシャツを着てしまっていた。

 

ゴンさんの家に凪がいたことで「いつの間にか仲良しさん?」と言われてしまうが「TVが無いのでゴンさん家で見せてもらってて」と嘘をついた。

 

『ああ、今日もはっきりできなかった。

私たちのこの関係はいったいなんなんですかって、はっきりできなかった』

 

そう悔やみながら部屋を出る凪。

ゴンさんとのことを坂本さんに話すと、昼の公園にも関わらず坂本さんのテンションはとても高くなった。

 

坂本さんは

「私たち付き合ってるんですか? って直接聞くのはダメなんですか?」

と聞くが、それは自分に自信のある女性だけだと凪は返す。

 

今の状態は正に

始めて高級店でディナーを食べる時、目の前にあるのはフィンガーボウルなのかそうでないのか聞けない感じに似ていた。

 

「一緒にいられる時間が幸せすぎて、それを聞いてその時間が壊れちゃうなら

このままの方が良いのかなと思ってしまったり」

「大島さん…しちゃってるんですね…恋」

 

坂本さんは実になるアドバイスはできないけれど、「恋の参考書ならお貸しできます!」と言ってたくさんの少女マンガを凪に貸してくれた。

 

どの漫画もとても面白いが、2人が付き合うまでのプロセスばかりが描かれている。

凪が知りたいのはそのもっと先だった。

 

『早まったのかな。段階踏まずにこんなことになっちゃって。

慎二とですら、一応段階は踏んで始まったもんなぁ』

 

会社の忘年会の帰り道でのことだった。

幹事の人がお酒好きなこともあり、終電前にお開きになったのは運が良かった。

会話の中から、慎二と同じ路線で最寄り駅も同じことがわかり

「じゃーー俺ら付き合っちゃう?」

という慎二の言葉で中が強引に始まったお付き合い。

 

「だって私たち付き合ってるんだから」

という確定事項で色々と乗り越えられていたところもあった。

それを鵜呑みにして結局「アッチが良いから会ってるだけ」と言われる女になってしまったが。

 

ゴンさんの部屋からは物音がしない。今夜はイベントだから朝まで帰らないのだろう。

 

『好きな人とこんな風になれて後悔なんてしたくないのに。

さっきまで一緒にいたのにもう会いたいなんて、こんな自分が少し怖い。

ここどこ? この道合ってる? ってなりながら全力疾走してるみたい。

なのに止まれない。

 

会いたいな』

 

その日は結局朝まで坂本さんから借りた漫画を読みふけってしまった。

 

外からはゴンさんが履いている雪駄(せった)の足音が聞こえる。

凪は急いで顔を洗うなど最低限の身なりを整え、ゴミを用意して偶然のように外に出た。

 

「あ、凪ちゃん。ゴミ捨て?」

 

『かあっっっこいい~~~~~~!!』

少女マンガの影響なのか、ゴンさんを見て朝もやが輝いて見えた。

 

ゴンさんはオールナイトのイベント帰りらしい。

 

「ゴミ出しがてら眠気覚ましのコーヒー付き合ってくれる?」

「はっはい! もちろん!」

 

ゴンさんとコンビニコーヒーを買って、いつもは通らないような道を通る。

そこには今は珍しい駄菓子屋があった。

駄菓子屋のおじいちゃんとも顔見知りらしい。

 

駄菓子屋前のベンチに座り、駄菓子を食べながらコーヒーを飲む。

 

『ああ、私

ゴンさんと過ごすこんな時間が好きだなぁ。モヤモヤが全部一掃されていくみたいな。

そうだ。段階云々言っておきながら自分も大切なことを伝えてなかった。

まず伝えなきゃ。

私のこの気持ち。』

 

「ゴンさんあの……わ、私

ゴンさんのことが好きです」

 

「うん、俺も凪ちゃん大好き!」

 

 

会話は終了した。

 

『うん、えっと…それで終わり!?

ここでもっと踏み込まなきゃなの!? じゃあ私たち付き合ってるってことでいいのって!?

そんな野暮な質問聞けない…!!』

 

凪がモヤモヤしているとゴンさんはポケットに手を入れて鍵を差し出した。

 

「あ、そーだ。

ずっと渡さなきゃって思ってたんだ。これ俺の部屋の鍵。

あった方が何かと便利でしょ。俺がいないときでも勝手に入っていーよ」

「えっいいんですか、こんな大事なもの」

 

「うん。だって俺と凪ちゃんの仲じゃない」

 

『これはもう私たちそういう仲っていう認識でいいんですよね!?』

 

凪は鍵を握り締め喜びをかみしめた。

そして「今度ゴンさんの部屋でご飯を作って待っていても良いですか!?」と許可を取る。

 

「何それめっちゃうれしー

じゃあさっそく今夜はどう?」

 

今夜ゴンさんはイベントがあるらしいが、早めに切り上げられるだろうということだった。凪は喜んで引き受けた。

 

その日の夜、凪はうきうきしながらロール白菜を作った。

作りながらゴンさんにもらった鍵についているキーホルダーのカレイドスコープをうっとり見つめる。

のぞきこむと世界がキラキラ見えて、恋をしている自分のように思えた。

 

ドアがガチャガチャと鳴った。

「ゴンさん、おかえりなさ

い」

 

入ってきたのは、ゴンさんと一緒にイベントなどをしているエリィさんと言うダンサーだった。

 

「ゴンじゃなくてごめんね。レコード回収したらすぐに出るから。

もしかしてゴン待ち? あいつたぶん朝まで帰らないよ。

急遽DJタイムの代打で回すことになったから。

 

うわ、やっぱりもうそれ渡されちゃったかーー。

知らないとアレだから言っとくけどアイツ誰にでも部屋の鍵渡すからね。

老若男女問わずガバガバだから。

お隣さんに前にも私言ったよね? あいつ人との距離感おかしいから勘違いしちゃダメだよって。

約束すっぽかすとかデフォだし。

まじクソだよあいつ。」

 

エリィさんは自身が持っているゴンさんの部屋の鍵を見せながらそう言うと、目的のレコードをみつけた。

 

『え、

えーーーーーー!?』

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十七円め 17話 凪、上がったり下がったり

レコードをみつけてすぐに出ていこうとするエリィさんを呼び止める凪。

『私の知らないゴンさんのこと、もっと知りたい』

 

「あのっエリィさん、ちょっとだけいいですか!?」

 

さっきまで作っていたロール白菜をエリィに振舞う凪。

エリィはロール白菜を食べながら凪に話し始める。

 

「あいつって優しいでしょ。

一緒に居るとめちゃくちゃもてなしてくれて、その時自分が一番言って欲しい言葉くれるでしょ」

 

エリィさんの言葉は凪が感じていたことと同じだった。

 

ゴンさんの"それ"は誰にでも出ているものらしく、すぐ誰にでも鍵を渡してしまうのが証拠らしい。

心の底から誰でもウェルカム状態。

ゴンさんの言う「面白い」「かわいい」も真に受けてはダメで、あの言葉は誰にでも無料で届くダイレクトメールのクーポンのようなものだとエリィさんは言う。

 

しかしゴンさん本人には思わせぶりなことをして搾取してやろうという悪意はない、とも言う。

 

「そこがクソ。

あいつにはただひたすらに『目の前にいる人に誠実』なの。

この意味わかる?

それってつまり『目の前にいない人には不誠実』ってこと」

 

エリィさんはこれまで、そんなゴンさんにやられて横たわる老若男女の屍をたくさん見てきているらしい。

ゴンさんを中心に屍ができていくことから「モーゼの海割り」という通り名までついているとか。

 

「しかも加えてエッチがクソうまい。そこがあいつのこわいとこ」

「えっ どうしてエリィさんがそんなこと知ってるんですか?」

 

「昔ちょっとね!! マジ思い出したくない黒歴史通り越したどぶ歴史だから!!」

 

エリィさんは倒れていく屍を見て正気に戻ったらしい。

 

「とにかくあいつと上手くやってくコツは適度な距離を保つこと。

用法容量守んなきゃダメ。依存したら終わりだよ。

じゃ、諸々頑張って。私は忠告したからねー」

 

凪にゴンさんのことを教えエリィさんはレコードを持って部屋を出ていった。

 

エリィさんの言う「依存」という言葉に心臓が跳ねた。

確かに最近凪は、ゴンさんに会えない時間の焦燥感が特にひどかった。

 

『鍵…誰にでも渡してたんだ。

ていうかゴンさんは昔エリィさんとも。

本当に朝まで帰ってこないの?

こんな簡単に約束反故にされちゃうの?

舞い上がっちゃって私バカみたいじゃない?』

 

1人で悶々と考え、そして思考は奈落の底にズブズブと沈むようだった。

 

 

 

誰かが頭を撫でるのがわかった。

「おはよーーー」

いつの間にかゴンさんの部屋で寝てしまっていたところに、ゴンさんが帰ってきたらしい。

 

「約束したのにゴメン。DJの代行断れなくてさ。

でも疲れて帰ったら可愛い顔して凪ちゃんが寝ててうまいメシがあって、ご褒美間ハンパなかったー」

 

鍵のことや約束のこと、悲しかったはずなのに会うと全てが溶けてしまうようだった。

適度な距離を保って用法用量を守るようにと、忠告されたばかりのはずなのに凪にはそれができなかった。

 

「ううん、全然大丈夫です。ゴンさんお疲れ様。」

 

 

 

凪はもう何度か来ているゴンさんのクラブイベントにまた来てしまっていた。

何度も来ているため、クラブにいる人も凪の顔を見て「あ! 凪ちゃん!」と声をかけてくれる。

 

ちょうどゴンさんが回すところだった。

凪には何をしているのかも何の曲をかけているのかもよくわからなかったが、溶けそうと思うくらいにゴンさんがかっこよく見えた。

そしていつものように、ゴンさんの友達も一緒にクラブでお酒を飲む。

おしゃれなイベントに来る人というのは、みんな怖い人かと思っていたがどの人も凪に優しく接してくれた。

 

そのゆるっとした空気はきっとゴンさんが作っているものだと思った。

『ゴンさんって空気清浄機みたい。

私、ゴンさんといると吸えるこの美味しい空気が大好き。

美味しくて楽しくて 大好き。』

 

話し込んでいると終電の時間が近づく。一緒に飲んでいたゴンさんの友達は「たまには朝まで飲もうよ!」と言ってくれる。「

 

「じゃあゴンさん、私はこれで」

「うん、了解。

じゃ、しばしお別れのぎゅーーー」

 

ゴンさんはみんなの前であるにも関わらず抱きしめてくれる。

凪は多幸感で溶けそうだった。

 

しかしちゃんと

「もーー何やってるんですか!!」

とゴンさんを引き離すことも忘れない。

 

幸せを感じたまま、クラブを出た。

 

 

しかし多幸感は5秒ともたなかった。

 

電車に揺られながら『やっぱり朝までいるべきだったか』という後悔が凪を襲う。

しかし終電頃になると夜中組のエリィさんもやってくる。そうなると忠告してもらった手前後ろ暗い気持ちになるのだ。

 

そして立川住まいの凪にとって、都心恵比寿にある会場は遠かった。往復で1100円。

更に毎回イベント代1500円 + ドリンクチケット500円×2

交通費含め毎回3600円かかってしまう。

 

『貯金残高カツカツなのに私何やってるんだろ…』

 

さっきまで一緒に飲んでいたゴンさんの友達も、自分がいなくなった途端に嗤っていたら…

ゴンさんのイベントには何故か女の子が多いけど、みんなゴンさんなのか。話す時も妙に距離が近いように感じる。

もしかして今も誰かと…

 

 

とさっきまで一緒にいたのに、凪はゴンさんと離れた後の被害妄想・幻覚・幻想が日に日にひどくなっていた。

 

『ゴンさんに早く会いたい

会いたい会いたい

これはエリィさんの言ってた用法用量が守れてないのかもしれない。

オーバードーズ!?』

 

そして朝。

凪はまた、一睡もできなかった。

会いたくて震えるなんて都市伝説かと思っていたが、自分に実際に起きている。

このままではダメだと思い、ヤオアニ(八百屋のアニキ)行って、図書館行って通帳に記帳しに行って現実を見て生活を立て直そうと計画を立てる。

 

そして身支度をして外に出ると

ゴンさんがバイクに乗っていた。

 

「凪ちゃんおはよーーー」

 

なんとかときめきに耐え、バイクについて聞くと友達に借りたものだと言う。

 

「これからもし時間あったら、ぷらっとドライブでもどう?」

「喜んで!!」

 

凪はさっき自分で立てた計画を捨てた。

そしてゴンさんの後ろの席にまたがり、ゴンさんにしっかり捕まる。

 

そんな二人を見て、うららちゃんのお母さんと映画好きのおばあさんは

「青春ね」

とキラキラした目で見送った。

 

凪にとって、バイクの後ろに乗るなんて初めてのことだった。

そしてついた先は、海。川崎の東扇島西公園、というところらしい。

 

平日の昼間は穴場のようで人も少なかった。

遠くに見える景色に驚き、潮の香りに感動しているとゴンさんが優しい目で自分を見ていることに気づいた。

聞いてみると

 

「元気出たみたいでほっとした。

イベントの帰り際いっしゅんちょっと暗い顔してた気がして、ずっと気になってて」

と微笑んでくれる。

 

『ただひらすら、目の前にいる人に誠実ならそれで良くない?

ゴンさんはまるで王子さまだ。

ゴンさんといると吸えるこの空気が大好き。このおいしい空気をずっとずっと吸っていたい。

 

なら、ゴンさんと会えない時ぐるぐるしちゃう弱い自分を掌握しなきゃ』

 

アパートに着き、ゴンさんにお礼を言う。高速代金を払おうとするが断られてしまった。

「そんなわけにはいかない」と払おうとすると

 

「ゴンゴン! 来たよー!」

 

若い可愛い女の子が大荷物を持ってやってきた。

 

女の子は今度のイベントのディスプレイ用の絵を、今日見せに来ると約束していたらしい。

女の子は美大生のモルちゃん、という子で

「めちゃくちゃグッとくる絵描くんだよー」

と紹介してくれる。

 

凪も一緒に見ようと誘われるが、大事な打ち合わせに居合わせるわけにはいかないと遠慮した。

 

『この時私は

私にとっての皇子様は他の誰かにとっても王子様だということが

想像を絶する辛さだということにうっすら気付いていた。

だから目を閉じた。

見なければ無いものと一緒だから』

 

エリィはイベント後のファミレスで、凪に伝え忘れたことがあるのを思い出した。

 

『お隣さんにゴンの通り名が他にもあるって言うの忘れてた。

メンヘラ製造機って。

…まぁいっか。』

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十八円め 18話 凪、メンタルがヘラる

ピピピピピピピピ

携帯の目覚まし機能が音を出している。

止めて時刻を見ると、もう13時だった。

お腹が空いたが何かを作る気力も無い。育てていた豆苗も伸び切ってたわんできていた。

 

『どうせ今日は一日ゴンさんいないって言ってたし、もうこのまま寝てよ』

 

ゴンさんのイベントに行くようになって、すっかり昼夜が逆転していた凪。

ゴンさんと会えない時間の

  • 今何をしているんだろう
  • どこにいるんだろう
  • 誰といるんだろう

という不安はとにかく寝てやり過ごせば良いと学んだ凪。

 

100均で買った耳栓をつけて、布団にもぐりこんだ。

 

凪の部屋に

ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

とけたたましく鳴り響く。

ドアの向こうでは慎二がピンポンを連打していた。

 

『あのクソ女ぁぁ!

またいねぇのかよ この俺がせっかくこの大雨のなかはるばる来たっつうのに。

つか寒い!! これ以上の屋外つれぇぇえ!』

 

「凪ちゃんに用事?

たぶんいてもいなくても出てこないと思うよ」

うららちゃんが慎二に教える。

 

「あ、この前一緒にトランプした、101号室のうららちゃん!」

「うん、こんにちは。凪ちゃんの元カレさん」

 

我聞慎二だと自己紹介した後にどういうことなのか詳しく聞いてみる。

 

「お昼にピンポンしてもいつも凪ちゃん出ないもん。

夜には出歩いているみたいだけど。

最近全然遊んでくれなくなったし。別に私は私の友達と遊ぶので忙しいし良いけど。

でも、正直凪ちゃん最近おかしいよ。

あの人と『青春』するようになってから、なんか変。」

 

あの人。

青春。

そのワードに反応すると

「あの人」と言って凪ちゃんが慎二の後ろを指さす。

 

「あれ、えーと、あっ

凪ちゃんの元カレくん!」

ゴンさんが現れた。

「我聞慎二でーす。よろしくどうもーーー。」

 

この雨の中外で待つのは辛いだろう、とゴンさんは慎二を部屋にいれタオルを渡した。

 

「凪ちゃんこの大雨の中、どこ出かけているのかな。早く戻るといいね。」

「ゴンくんさぁ、最近アイツとつるんでるんでしょ?

凪と2人して青春してるってうららちゃんが」

 

「えー? 何それ。

確かんじ最近ちょいちょいかまってもらってるけど、青春かぁ!

さわやかでいいねそれ!

でも俺ら我聞くんが心配するような中じゃないから安心して大丈夫だよ」

 

「心配ってかそうゆうんじゃなくて」

と、その言葉に焦る慎二。

 

「あはは、我聞くんてかわいいね」

 

慎二の肩に手を置いて顔を近づけてそういうゴンさんに慎二は

『近っっ』

と寒気がした。

 

上の棚にあるマグカップを取ろうとしたらしい。

 

出されたのは麦茶のミルク割り。クセの無いミルクティーのようで飲みやすかった。

麦茶自体が美味しい気がする、と言うと

 

「あ! ビンゴ! その麦茶凪ちゃんがウチで入れてくれたやつだよー」

とゴンさんがいつものゆるい雰囲気で教えてくれる。

 

『ウチで入れてくれたやつ、だと!?

つまりあいつが部屋に来るくらいの関係性ってことじゃねぇか。

こいつさっきからちょいちょいジャブ打ってくるな。ケンカ打ってんのか!?』

 

モヤモヤしていると

「せっかくだから凪ちゃんがいない間に俺と勝負しない!?」

 

慎二はゴンさんから勝負を持ちかけられた。身構える慎二。

勝負はPS1のレースゲームだった。

 

布団を丸めた簡易ソファに座り、スナック菓子片手にTVゲーム。

小3の夏休みのようだと思った。

そしてゴンさんのプレイは微妙な速さで振り切れない。しかしコース取りもちょうどいい。

 

慎二の一番腹が立つプレイスタイルだった。

慎二が見たことのないプレイをするので、ゴンさんは「結構ゲームっ子だった?」と質問する。

 

慎二の家はゲーム禁の家だったので、友達の家でやり込んだと言う。

ゴンさんの家もゲーム禁で、そもそもゲームなんて買ってもらえなかったと言う。女姉妹に挟まれゴンさんだけおもちゃも無かったと話す。

 

「我聞くんちは?」

「ああうちは、兄貴が受験失敗して母ちゃんがヒス

 

 

『ってなんでこいつにこんな話!! ぬるっと聞き上手こえ~~』

 

慎二は話を変えることにした。

プレステ派かセガサターン派で派閥ができていた…という当時のあるある話だ。

 

「サターンでやりたいソフトあっても、グループ違うからそいつん家には行けないって空気あったなー」

「そうなんだ? 俺はプレステの子ともサターンのこともよく遊んでもらったなー」

 

慎二はその言葉で察する。

『うっわーーー出たーーーーーこいつ垣根のない奴かーー。

空気読むという概念が皆無のレアキャラ。誰にでも平等なマイナスイオン的ポジション。

生きてるだけで貴重な国産天然うなぎ。だからみんなあやかりたくて寄ってくる。

しかも優しくて、ぬるっと聞き上手。

こんなん隣に住んでたら、確実に落ちるだろこれ。』

 

外はまだ雨が降り続いているが、ゴンさんはそろそろ出ないといけない時間になってしまったらしい。

一緒に出ようとするが、

「いーよいーよ。

凪ちゃん帰ってくるまでゆっくりしてきなよ。鍵ポストに入れといてくれればいいから」

と言って、慎二に鍵を渡す。その鍵にもカレイドスコープはついていた。

 

「まさかとは思うけど部屋に上がり込んで無理強いとかはダメだよー

壁も天井も薄いからセキュリティもばっちりだからね」

 

と慎二に念を押してゴンさんは部屋を出た。

 

『カジュアルすぎんだろ。

あー俺は何やってんだ』

 

と思い丸めた布団に横になると、見慣れたちぢれ毛をみつける。

 

『この色素の薄いちぢれ毛は まちがいなくアイツの毛だ。

よく見たらあちこち大量に

これって確かフトンだよな!?

 

これヤってんだろ

俺ら我聞くんが心配するような仲じゃないだぁ!? どのツラ下げてあのヤロウ

 

 

あーーーやってらんねーーー

クソでかいクソを置き土産に帰ったろ。ユニットバス住まいの貧乏人め』

 

と毒づきながらトイレに入っていると、トイレでとんでもないものを見てしまった。

 

『深淵を見ちまった。もしもあんなの相手にしてるんだとしたら…

あいつ…』

 

帰宅途中、コンビニで買い物している凪を見かける。

「な、凪!」

 

みつけた凪はとても顔色が悪くやつれているように見えた。

 

「しっ…慎二!?」

話しかけてきたのが慎二だとわかると凪は逃げ出す。

 

「何なの怖い!! なんでまた来たの!?

やだ来ないで怖い!! 絶対うちにはもう上げないから!」

 

雨の中傘も差さず走る2人。凪は足が速く慎二はなかなか凪を捕まえられない。

 

『とにかく話をしねぇと』

 

「俺今日、お前の隣の男んちに上がったぞ」

「え!? うそ!! なにそれ!?

ゴンさん家にいたの!? 今日は帰らないっていってたのに」

 

隣に住む男、ゴンさんのことを話すと凪はすぐ振り返った。

一日耳栓をしていたことをものすごく後悔している。

 

「お前が隣の男とつるむようになってから変になったって話はマジなのか…」

「えっ!? 誰がそんなこと。侵害だよ! 私は毎日こんなに穏やかなのに。」

 

「どこが穏やかだ!」

慎二は凪の買った袋を奪い、中を見る

「なんだこの自堕落なメシのチョイス。節約魔のお前がコンビニで散財なんてありえねぇ。

咥えて磨きをかけたそのブスっぷり。どうせ奴に振り回されて自棄な生活送ってるんだろ。

 

お前も見ただろ。あいつの洗面台の大量の化粧水。

お前意外に何人も女がいるような男でいいのかよ。」

 

「全然いいよ? だって2人でいるときは幸せなんだもん。

むしろゴンさんみたいな人はみんなでシェアしなきゃ。」

 

「寒」

 

「寒くても全然いいよ。

ブスって言われても全然いいよ。ゴンさんはかわいいって言ってくれるし。

自由にやらせてよ。だってせっかくのお暇なんだからさ」

 

凪は雨に打たれながら死んだ目でそう言った。慎二を見ているようで見ていない目だった。

 

「おっまえさぁー マジでスベってんなよ…っ」

慎二は頭を抱えた。

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凪のお暇 3巻 感想

まさかメンヘラが出てくるとは…

おいおいマジかよ…この漫画を読んでいて「メンヘラ」という単語を見ることになるなんて…。

1・2巻を読んでそんな単語とは無縁のものかと思ったのに…! ゴンさんってすごいな。そして恋ってすごい。

凪はこれまで「周り」に依存していたようなところがある…から? 余計になんだろうか?? いやいやこれも勘違いか?

 

ゴンさんみたいに何でも分かってくれて、欲しい言葉をくれる人…というのに会ったことが…無い…ような気もする。あったかもしれない。わからん…。

ゴンさんの家に出入りするエリィさんは、かつてゴンさんのことが好きになりそして他の屍たちのようにメンヘラになった…かなる直前に気づいたからこそ凪ちゃんに助言していたのか。

やっぱり助言って、しても意味無いことの方が多いよね。

「その道を進みたい」という人からすれば反対する声なんて邪魔なだけだもん。凪ちゃんはまだゴンさんがどれだけクソなのかをエリィさんに聞こうとしただけ偉い。

3巻は表紙通りゴンさん一色

面白かったけど…うまくまとまらない。

ゴンさんと凪は付き合ったりするのかなと思っていたけど、想像の斜め上の決着の付き方した…。

カラダだけの関係かぁ~~~。

しかもゴンさんはそれについて特に何とも思って無さそうだし、セックスもご飯食べるのと変わらないでしょって思ってそう。

まぁ確かにそうなんだけども。動物だったらそうなんだけども。

人間だったらさー。もっと色々と考えちゃうじゃないですか。

 

セックスしちゃったことで凪が「これって付き合ってるんだよね!?」って重い女な気もしてしまうけど、これまで「ちゃんと」生きようとしてきたのならその考え方は仕方ないことだ。

急に人は変わることなどできない。

むしろゴンさんの部屋に行こうとしたことや、先に進もうと思ったことが良い事だと思う。とても進歩している。

「ちゃんと」からは外れているかな。

 

いや…しかし怖いわ。

これまで慎二というモラハラクソ野郎と付き合っていたからこそ、ゆるくてのんびりしていて凪ちゃんの言いたいことをポンッと言ってくれるゴンさんがとても居心地が良いのはわかるけども…。

まさにオーバードーズ。摂取しすぎ。気にしすぎ。

せめてゴンさんくらいゆるく受け止めるか、「カラダだけかな!」って思いきればいいのに…。

いやいやしかし生物としては大事なオスを独り占めしたいという感情も理解できる…。しかし凪のメンヘラ進み具合は異常だな。耐性が無いのかなぁ。

節約ライフだったのに、ラストはコンビニでジャンクフード買ったりしているし。良さゼロじゃん!!

節約ライフは!! ヤオアニ行けよ!!

 

途中の「ただれてしまった」というシーンなんて

鈴林
エヴァのミサトさんじゃん…。大学時代のミサトさんじゃん…。

と思ってしまった。

 

夜にセックスして朝起きてテレビつけながらまたセックスして…確かにただれている。しかしそれが楽しい生活だというのも理解はできる。

付き合っているならまだよかったんだけどなーーーー。

付き合ってないんだもんなーーーー。

 

うららちゃんがとても癒しだったわ。

「あの人と青春してから変になった」って慎二に報告してて、

なんて良い子なんだ

と感動したし、心のきれいさとかわいさが嬉しかった。2巻にはあれだけたくさん出てきたのに3巻にはあんまり出てこなくて悲しい。

 

上の階に住むおばあさんも、そしてうららちゃんのお母さんも凪ちゃんとゴンさんが恋愛しているなら良いししてないならしてないでもOK、というスタンスなのかな。

大人…。それでこそ大人…。2人の関係に口を出すのも変だもんね。

凪ちゃんと真逆の慎二

きっとゴンさんは女も男も同じように人気があるんだろうな。何なら…バイなのでは…?

女にモテるのはわかっている。きっと凪ちゃんみたいな人がゴンさんに惚れるんだろうし、エリィちゃんみたいな人もゴンさんを好きになるだろう。

というか全方位か!? 相手の欲しい言葉を投げかけることができるってすごい才能だと思う。欲しい。

だからこそ性別という壁すらも壊してそう。

 

慎二に対しても「かわいい」って言って顔近づけてたし…あれでオチる男性もいるんじゃないかな…。

慎二は他人と自分の距離をはっきりと自覚するし距離取るタイプだし、相手のことを客観視することも上手いし自分のことも…ある程度はわかっている。

だからこそゴンさんと自分の違いに気づいて、ゴンさんの特徴についてもすぐ気がつけたんだろうな。

 

慎二にも鍵渡すなんて…ゴンさんは一体いくつの合鍵を持ってるんだよ…どれも同じようなキーホルダーだし。

凪ちゃんなんてあのキーホルダーの万華鏡見てうっとりしてたのに。

慎二はトイレ借りてデカいうんこ残していくか、とか考えちゃうしたくさん置いてある化粧水を見てゴンさんの闇を感じ取ったと言うのに…。

慎二は観察力すごいなぁ~~。落ちている髪の毛から凪ちゃんのことがわかるのは怖いけどw

 

ゴンさんの人となりを察し、そして状況や凪ちゃんの性格などから想像して「これはもうヤってんだろ」と結論付けるのさすがだ。普通かもしれないけどあたしにはすごく思えるw

 

ゴンさんからすれば、凪ちゃんとゴンさんは付き合ってないし

「我聞くんが思ってるような関係じゃないよ」

と言えるんだろうなw

普通は…というかたいていはカラダの関係だけでも嫌なものだけどね…w

ゴンさんからすれば、身体の関係はあっても心までは僕に来てないから大丈夫、と言う意味かもしれないけど…しかし…それにしても…奔放すぎないだろうか…。

 

2巻にあった『意外と奔放なのかな?』という発言を見るに、女性とセックスすることについて後々起こりうる可能性とか問題について知っているしちゃんと女好きなような印象も受けるんだけど…。

どうなんだ!? わからん!!!w

母の望む「ちゃんと」する道

うちの親は「ちゃんと」はここまでひどくは無かったけど…きっとどこの親も多かれ少なかれ持っているものだとは思うんだよね。

子供は親の所有物ではない。子供は親とは別の生き物であり、他人である。

とは親も子供もいずれは認知しなければいけないことだけど、周囲もそう思うとは限らない。

田舎であれば田舎であるほど、子供が優秀であれば親が誉められ子供に何かしら不安があれば親のせいになる。

 

実際はわからないけど凪ちゃんのお母さんは凪ちゃんを心配しているようでいて、自分が他人からどう見られるのかを気にしているんだと思うな。

きっと旦那さんに逃げられたのを気にしているんだろうか。だから凪ちゃんには「ちゃんと」してもらえるようにキツく言う。

自分がちゃんとしなかったから旦那は逃げてしまったけど、これで子供の凪まで「ちゃんと」していなければ

ほら見たことか

と周囲に思われてしまう・言われてしまう。

 

だからこそ凪ちゃんにはキツく「ちゃんと」するように教えた。自分の思い通りにならないようだったら、そうなるように叱るし何が何でもそうさせる。

ある意味で意思が強いんだけど、凪ちゃんからしたら迷惑でしかないだろうな。

実際にこの3巻で初めて「キライ」だと認識したし。

 

人間の脳はすごいもので「嫌いと思ってはいけない」と思っていると、本当にそう思わない。

でも「いやだな」という気持ちは生まれる。しかし名前を付けない。つけると「嫌い」になるから何もつけづモヤモヤさせてしまう。

経験あるけど、モヤモヤしているままだと気持ち悪いんだよね。すっきりしない。だからゴンさんの言うように、口に出してはっきりと意識するのは大切。

別に嫌いでも良いじゃない。嫌いなものは嫌い。

自分がその人・そのもの・その事柄についてどんな感情を持っているのか、どんな心の動きがあるのか認識できたほうが、ずっと先に進めると思う。

 

3巻はゴンさんの話ばかりだったけど、この後慎二と話してメンヘラ回復したり……するか?

そしてお母さんとの対面で何か進む?

とりあえずメンヘラから立ち直って~~~~!w

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